スニーカーの加水分解 起きるまでの年数と遅らせるしまい方
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スニーカーの加水分解は、靴底のポリウレタンが湿気や水分で少しずつもろくなる変化です。履かずにしまっていても進むことがあり、起きた底は洗っても戻りません。湿気と熱を避けてしまい、久しぶりに履く前に底を曲げて確かめておくと安心です。
久しぶりに靴箱から出したスニーカーの底が、ぽろぽろと崩れていて驚いた人もいると思います。しまっておいただけなのに、なぜ底だけがこんな状態になるのか、不思議に感じますよね。
この記事で分かるのは、加水分解が起きる理由と、何年くらいで起こるかの目安とその幅です。起きにくい素材の違い、遅らせるしまい方、起きた靴の見分け方と、履く前の確かめ方も書きました。
この記事で分かること
- 湿気と熱で底がもろくなる
- 年数の目安には幅がある
- 乾かして風通しのよい所にしまう
- 履く前に底を曲げて見る
スニーカーの加水分解は何が起きているのか

何年か前に買った靴を押し入れから出したら、底がボロボロにはがれ落ちた、という相談が東京都の消費生活の窓口に寄せられていました。履いて傷んだわけではないのに底が崩れるのは、靴底の素材そのものが中から変わっていくからです。
水分で素材の結合が切れる
加水分解という言葉は、水分の作用でプラスチックの結合が切れることを指します。東京都の資料では、加水分解が起こると強さが落ちると説明されています。
見た目は同じ靴でも、底の素材の中では結び付きが少しずつほどけています。加水分解は、水分によって素材の結合が切れ、靴底の強さが落ちていく変化です。
靴底のポリウレタンに起きる
ポリウレタンは、すり減りにくく弾力があり、ゴムより軽いといった特徴を持つ素材だと、靴のメーカーの1社は説明しています。靴底に使われる素材の1つで、ニューバランスもシューズのミッドソールに使っているとしています。
東京都立皮革技術センターの資料には、ポリウレタンで作られた靴底がつま先で割れた例が載っています。この割れは、保管の状態が悪いと加水分解が起きて劣化する現象だとされています。
湿気と熱で進みやすい
ポリウレタンが傷む引き金は、空気中の湿気を含めた水分です。そこに熱が加わると、変化はさらに速くなります。
東京都の登山靴の案内は、高温で水分がある状態だと劣化が速く進むと書いています。湿気と熱がそろう所に置くほど、加水分解は進みやすくなります。
加水分解は何年で起こるのか
手元のスニーカーがあと何年もつのか、目安の数字があると助かりますよね。ただ、メーカーや公的機関の資料で確かめられた年数は2つだけです。どちらにも幅があります。
製造から数える目安がある
ニューバランスは、ポリウレタン素材の寿命は製造から3年~5年が目安だとしています。使い方によっては、早まる場合もあるそうです。東京都の登山靴のテストの資料では、ポリウレタン製のミッドソールは、一般的には製造後5年程度が寿命といわれている、と紹介されています。
1つは靴のメーカーの目安、もう1つは登山靴について公的機関が紹介した話です。どちらも、買った日ではなく製造から数える点は同じです。2つの年数はまとめずに、それぞれの靴の目安として見ておきます。
出典:東京都 生活文化局「登山靴・トレッキングブーツの事故防止テスト」
しまったままでも進むことがある
履いていないから長持ちする、と考えたくなるところです。けれどニューバランスは、ポリウレタンの加水分解は使った期間や回数に関わらず空気中の湿気などで起こる、としています。
同じ案内でニューバランスは、まだおろしていない新品をしまっておく場合にも、同じように劣化は起こるとしています。履いていない靴でも、しまっているあいだに底が傷んでいることがある、と考えておきます。
年数より靴の状態で見る
目安は製造から数えるうえに、早まる場合もあります。買った時期を覚えていても、その靴がいつ作られたかまでは分からないことが多いですよね。
そう考えると、数字に合わせて靴を手放すより、底にひびや崩れが出ていないかを見るほうが確かです。いつ崩れるかは、年数より手元の靴の底の状態で判断します。
結論
ニューバランスは、製造から3年~5年が目安(使い方によっては早まる場合がある)としています。東京都の登山靴の案内は、製造後5年程度といわれると紹介しています。どちらも製造から数えます。加水分解は湿気と熱で速く進むので、年数より底の状態で見ます。
加水分解しにくいスニーカーはあるのか
どうせ買うなら、崩れにくい靴を選びたいと思いますよね。素材の種類によって起きやすさに違いがあることは、公的機関の資料でも分かっています。
エーテル系は起きにくいとされる
ポリウレタンには、エステル系とエーテル系の2つの種類があります。東京都の資料は、エステル系は水分で加水分解して劣化する可能性があるとしています。
東京都立皮革技術センターの資料でも、ポリウレタンのすべてが加水分解を起こすわけではないとされています。エーテル系は劣化が起きにくいため、使われることが増えてきたそうです。
出典:東京都立皮革技術センター「靴底の割れ」の資料
EVA系は同じ試験で硬くなった
東京都のテストでは、ポリウレタン製の底は蒸気に当てる試験で加水分解し、強さが大きく落ちました。一方で、EVA 系の底は同じ試験で加水分解せず、縮んで硬くなっています。
ただ、この試験は実際にしまっておく状態とは大きく違う、強い条件で行われたものです。EVA 系でも変化が無いわけではなく、起き方が違う、と受け取るのがよさそうです。
素材が分からなければ店に聞く
素材の種類で起きやすさが違うと分かっても、手元の靴がどちらかを見分けるのは難しいところです。東京都立皮革技術センターの資料も、エステル系かエーテル系かを前もって表示する必要があるのではないか、としています。
靴に素材の種類まで書いてあるとは限りません。素材について分からないことがあれば、その靴を買った店に問い合わせるとよいと、東京都の登山靴の案内は勧めています。

加水分解を遅らせる置き方は
素材は選びにくくても、しまい方なら今日から変えられます。東京都の資料には、ベランダの靴箱に入れていた登山靴の接着部分がはがれた、という相談の例も載っていました。
汚れと水分を落として乾かす
履いたあとの靴には、土などの汚れと水分が残っています。靴のメーカーの1社は、土などの汚れや水分が残ると接着剤の劣化が進むとしています。
その1社は、汚れをブラシなどで取り除き、しっかり乾かすよう案内しています。水分を取り、乾かしてからしまうことは、靴のメーカーと東京都の案内に共通しています。
熱で乾かさない
濡れた靴を早く乾かしたくて、ストーブのそばに置きたくなることがありますよね。けれど、加水分解は湿気と熱がそろうと速く進むので、熱で一気に乾かすのは避けます。
ストーブなどの火のそばで乾かさないことと、車の中のように高温になる所に置きっぱなしにしないことは、複数の案内に共通しています。乾かすときは、熱を当てずに時間をかけるほうが、底の素材には負担が少なくて済みます。
風通しのよい所に置く

しまう場所は、陽の当たらない、風通しのよい所を選びます。車の中や野外の物置のように、高温になりやすい所は避けます。
靴のメーカーの1社は、下駄箱の下のような、風通しのよい室内での保管がよいとしています。湿気がこもらず、熱もこもらない所が、靴底にとって負担の少ない置き場所です。
箱や袋に入れっぱなしにしない
買ったときの箱に入れておけば安心、と思いがちですよね。けれど靴のメーカーの1社は、購入時の靴箱や収納袋のような、風通しの悪い入れ物の中に保管しないよう書いています。別の1社も、箱はできるだけ避けるとしています。
さらに別の1社は、履かずに箱やシューズケースに入れたままだと、ポリウレタンが加水分解でぼろぼろになってしまうこともあるとしています。しまうときは、買ったときの箱や袋に入れたままにしないことが、加水分解を遅らせる方法の一つです。
季節の終わりに靴をしまうときの、箱と袋と湿気の扱いは、靴の保管の記事にまとめています。
あわせて読む靴とブーツの保管方法 シーズンオフに箱と袋と下駄箱のどれにしまうか

加水分解した靴はどうなるのか
もう起きているかもしれない靴を前にすると、どこを見ればいいのか迷いますよね。加水分解が起きた靴底の変化には、いくつか決まった形があります。
ひびや崩れやはがれが出る
加水分解が進んだ靴底には、ひびが入ったり、ボロボロに崩れたりといった変化が出てきます。底がはがれることもあります。ただ、はがれは接着剤の経年劣化で起きる場合もあります。
雨や雪の日によく履いていたブーツのソールが加水分解でボロボロになり、近所の靴の修理の店に持っていった、という声もありました。ひび、崩れ、はがれのどれかが見えたら、靴底の素材が傷んでいるしるしとして受け止めます。

洗って戻るものではない
加水分解は、素材の結合が切れて強さが落ちる変化です。汚れとは違うので、洗っても元の状態には戻りません。
宅配の靴クリーニングの KutoonWash(クトゥーンウォッシュ)の規約にも、ゴムや樹脂やエアクッションなどは経年劣化で硬くなったりひび割れたりする可能性がある、と書かれています。
注意
加水分解が起きた底は、洗っても元には戻りません。自分で接着剤を使って直す手順は、この記事には書いていません。
修理は修理の店に聞く
直せるかどうかは、靴の修理の店か、その靴を買った店に聞いてみます。
ソールが黄色くなっただけで、ひびや崩れが無いなら、加水分解とは別の変化です。黄色い底をどこまで家で明るくできるかは、別の記事にまとめました。
あわせて読むスニーカーのソールの黄ばみ 家で白くできる所と戻らない所
久しぶりの靴は履く前に底を曲げて見る
しまっていた靴を出したら、見た目はきれいでも、そのまま履いて出かけるのは少し待ちます。ニューバランスも、長くしまっていた靴は履く前に状態を確かめるよう案内しています。
底を曲げてひびを見る
東京都は登山の前に、靴底を何度か曲げてひび割れなどがないかを確かめるよう勧めています。これは登山靴の案内ですが、曲げて底の割れを見るやり方は、久しぶりに出すスニーカーにも使えると思います。

見た目がきれいな靴でも、履く前に一度は底を曲げて、ひび割れなどの異常がないかを確かめておきます。
残す靴と手放す靴を分ける
ひびや崩れが無い靴は残し、これからのしまい方を見直します。底にひびや崩れが出た靴は、履いて出かける前に、手放すか直せるかを相談するかを決めます。
残すと決めた、ひびの無い靴の汚れや黄ばみを任せたいときは、スニーカーのクリーニングの記事を見てください。機械洗いと手洗いの違いや、黄ばみ取りのオプションを書いています。崩れた底は、任せても元には戻りません。
あわせて読むスニーカーのクリーニング 機械洗いと手洗いの違いと黄ばみ取りのオプション
次に久しぶりに出す1足は、玄関で底を曲げてひびを見てから、残すか手放すかを決めてみてください。
結論
履く前に底を曲げてひびを見ます。ひびが無ければ靴を残し、しまい方を見直します。ひびや崩れがあれば、出かける前に、手放すか直せるかを相談するかを決めます。
よくある質問
Q1.年数は買った日から数えますか
A.ニューバランスも東京都の登山靴の案内も、年数は買った日ではなく製造から数えています。ニューバランスは、まだおろしていない新品をしまっておく場合にも、同じように劣化は起こるとしています。
Q2.ひびが少しだけなら履いても大丈夫ですか
A.ニューバランスは、長くしまっていた靴は履く前に必ず状態を確かめるよう案内しています。東京都の登山靴の案内は、特に異常が見えなくても、途中でミッドソールが壊れたりはがれたりする可能性があるとしています。靴のメーカーの1社も、接着剤は経年劣化により、使っている途中で突然はがれる場合があると書いています。
Q3.靴に書いてある注意書きはどこを見ればいいですか
A.年数を経たポリウレタン部分は加水分解で壊れる可能性がある、という言い方の表示があれば、加水分解についての注意です。東京都のテストで見つかった表示には、高温になりやすい所には置かない、使用前にポリウレタン部分のチェックが必要、という注意も並んでいました。ただ、日本語の注意表示があったのは10検体のうち2検体だけでした。表示が無い靴も、履く前に底を曲げて確かめておきます。
靴の種類で選ぶ2つの頼み先
スニーカーを手洗いとオプションで任せるならKutoonWash、革靴やブーツを2足まとめて出すなら美靴パック、と靴の種類で分けると選びやすいです。
| 項目 | KutoonWash(クトゥーンウォッシュ)スニーカーを手洗いとオプションで | 美靴パック革靴やブーツを2足まとめて |
|---|---|---|
| 向く靴 | スニーカー・子ども靴・革靴・ブーツ・ムートン | 革靴・ブーツ・ムートン・スニーカー |
| 料金の形 | 1足ずつコースとオプションを選ぶ | 2足までで1パックの料金(表示は最低料金) |
| 往復の送料 | 地域と足数で決まる・商品の合計10,000円以上で無料 | パックの料金に入る(北海道・沖縄・離島は除く) |
| カビ | カビの靴は手洗いのコースで・防カビ加工あり | カビ除去は1足ごとに別料金 |
| 保管 | 6〜12か月のオプション | 最大7か月のオプション |
| 公式サイトへ | 【PR】 KutoonWash の公式サイトを見る | 【PR】 美靴パックの公式サイトを見る |
どちらも宅配で送るので、素材の注意と受け付けない靴を公式で見てから決めます。


